威鶴のmemory
メチャクチャに暴れて、あの家を出て来た。
もう帰ることすら許されない気がする。
「家出なんて、急っすね」
「親父にキレてきた。家ん中メチャクチャにして来ちまったからもう帰れねぇ」
『うわぁー』という声が遠くから聞こえる。
容赦なく暴れて来たことが伝わったらしい。
「どうするんすか?これから」
「なんも考えてねぇよ」
「家来ますか?」
「……いや、いい」
ここで俺はようやく通常思考に戻ったことに気付いた。
遠くでメンバーが、ペンギンの群れの如く塊になって、俺たちを見ていることに気付いた。
……あぁ、やっちまったな。
俺は一つの覚悟を決めて、トモに向く。
「トモ」
「なんすか?」
「白蛇、お前にやるよ」