威鶴のmemory
トモの肩を叩いて、出口へと向かう。
マジこれからどうするか、何も考えてねぇ。
「じゃーな」
珍しく静まるその場所に、本当はあと少しいたかったその場所に、別れを告げた。
電車に乗って、適当な駅で降りた。
とにかくあの街から離れなきゃ、自分の気持ちが揺らぐ。
ケータイの電源を切り、駅の端で考える。
バイト……っつっても未成年だし。
とりあえず金と家。
家はまぁ、なんとかなるか。
金は……カツアゲするわけにもいかねぇしな。
はぁー……。
その時だった、アイツが来たのは。
『こんな所で、なにしてるんだ?』
──それが、威鶴だった。