威鶴のmemory
「って言われても、ラテにも話さないと……」
「呼ぶ」
そう言うと、ケータイを取り出した。
「え、今!?」
「俺は一刻も早く、あの女と解散したいんだ」
……どんだけ嫌ってんだ……。
数十分待たされた部屋に、一人の女が連れ込まれた。
「威鶴さんっ」
一見大人しく見えるその女は、来てまっ先に威鶴のもとへ行き、そいつの頬に手のひらを当て固定すると顔を近付ける。
しかし慣れているのか、おそらくキスしようとしただろうその女の額に手を当て、阻んだ。
「離れろ」
「……もう、いつになったら堕ちてくれるの」
威鶴の隣に座るその女は、俺のことを全く見ることがなかった。
故意に見ようとしないのか、見えてないのか?
どうでもいいけど、確かにこの女とは一刻も早く離れたい理由は理解出来た。