威鶴のmemory
「なんだぁ、まだだったの。そっか。……そろそろお母さんひっぱり出して来ていいかしら?」
「どんと来い」
「え、ひっぱり出す……!?」
竹原家の上下関係は一体どうなっているんだろうか……!?
そして気付いた。
気配が……さっきより少しだけ近付いている。
その近付き方も、あちこち動いた結果近付いているというわけではなくて、本当に、ジワジワと、という感じに近付いている。
まるで幽──
ガラリ、遥香さんが扉を開き、廊下に向かって叫ぶ。
「お母さーん、可愛い女の子が来てるよー」
「……」
それだけ言って、遥香さんは扉を閉めた。
そして数秒後、その扉は再び開かれた。
そう……お母さんによって。