威鶴のmemory
威鶴という男は、不思議な奴だった。
真面目そうな顔して大雑把。
男なのに女のように弱く、女のように扱おうとすれば男らしい。
なにより、力は俺より弱いくせに、戦闘には無駄がなく、ある意味俺より強いのかもしれない。
だってなんだよツボとか急所とか、人間の弱点を知り尽くしてる。
でも力があるわけじゃないから、人間以外には使えない。
そんで、変な特殊能力の持ち主。
こんな奴見たことねぇ。
冷たくてつまらない奴かと思えば、案外他人事にも首突っ込んだりするあったかい奴だし。
自然と信頼出来るようになった。
そして。
「トーマ!」
BOMBに入って一ヶ月、俺は姉の遥香に会う決意をし、喫茶店に呼び出した。
他の家族とはまだ会えない、家にも帰らないという条件でも、遥香は了承してくれた。