威鶴のmemory
「……は、遥香」
「バカ。大バカ。みんな心配させといて、全く連絡よこさないで」
「……あんなことしといて帰れるわけないだろ」
「しなければよかったのよ」
「過去は戻らないだろ。……いいから座れよ」
遥香はようやく落ち着いたらしく、向かいの席についた。
話さなきゃいけないことがある。
誰よりも話しやすい遥香にしか、今は決心がつかない。
それでも伝えたいことだけは、伝えられるだろう。
「トーマ、今どこに住んでるの?ちゃんとやってるの?拾ってもらえたの?それとも女の子の家とかにお世話になってるの?彼女とかは?いるの?いるなら安心だけど格好つかないよ?それより学校は?行ってないでしょう?退学に──」
「なげーよ」
終わる予感がしない言葉の羅列を制した。