威鶴のmemory
「わかった。ありがとう」
遥香はそう言って受け取った。
「あと、女はいねーし、学校はやめる」
「中退するの?」
「これ以上迷惑かけらんねぇ」
「……そう」
俺の気持ちを察してくれたのか、遥香はそれ以上は言わなかった。
それから俺は、家出してから今日まで何があったかを話した。
仕事内容は、ごまかした。
一通り話も終わると、遥香はトイレに立った。
そのスキに俺は、これまでBOMBの依頼で貯めた報酬を必要分以外全て、遥香の財布に突っ込んだ。
遥香はレジでそれに気付いて返すと言ってきたけれど、俺はシラをきった。
外へ出れば空はオレンジ、今日は依頼は来ていない。
帰り道、そういや紹介カードに名前書けとか言われたっけ?と思い出すが、時すでに遅し。
もう渡しちまったし、来た時でいいや。
……と思った俺がバカだったんだろう。