威鶴のmemory
「可愛い女の子っ……?」
「……」
どうやら『可愛い女の子』に釣られてやって来たらしい。
お母さんは、トーマになんて目もくれないで、私をじっと見つめる。
「……お、お邪魔しています……」
「……はぅ、可愛いわ……」
私に目を向けたまま、うっとりとし出したお母さんに、私はどうしたらよいのでしょう?
……と、トーマが私の肩を引き寄せ、私はトーマに寄りかかる。
お母さんの視界に、トーマが映り込んだ。
「……」
「よう」
「……」
固まってしまった、お母さん。
大丈夫……なのだろうか?
「ほら、お母さんも座って」