威鶴のmemory


「満足か?」


冷静に、叶香に問い掛けた声。

……威鶴、てめぇ、助けやがれ……。



「はい、満足です。お騒がせしました」



俺には向けない爽やかな笑顔を威鶴に向ける。

すると威鶴も笑った。



「ふっ……そうか」



俺を見下ろして。



「……いづ、る……知ってて、呼びやがったな」

「当然だ」



……この一ヶ月で学んだ。

この男、実に性格が悪い。

こんな女顔しといて信じらんねぇ。



「はい、ペン。いいからさっさとここにサイン書いてくんない?」



そう言われて差し出されたのは、遥香にやった紹介カードだった。

なんで叶香が持ってんだよ。



しかもそこにはすでに『竹原叶香』と記名してある。



「お前……なんでカード持ってんだよ」

「遥香がくれた。だから嘲笑いに来てやったのよ。ほらサッサと書いて」
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