威鶴のmemory


遥香さんに促されて、お母さんも向かいのソファーに座り、俯く。

トーマ……嫌われてる?

というよりむしろ、怖がられてる?



「いつまでもグダグダ隠れてんじゃねーよ」

「……はい」



!?

逆!

逆だよトーマ!

普通叱られるのは息子の方でしょ!?



「「コラトーマ!!」」



私と遥香さんはなんと、同時にトーマを叱った。

少し、驚いた。

でも遥香さんがどうして自分そっちのけで弟思いなのかが、なんとなくわかった気がする。

こんなのが毎日続いたら、遥香さんだって面倒見がよくなるわけだ。



でもこの問題は……。



「トーマ、なんでそんなに冷たくするの?お母さんでしょう?」

「うぜぇんだよ」

「なにが」

「言い返せばいいじゃねーか。なんで黙るんだよ?うぜぇ」



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