威鶴のmemory


だって今さら会ったとしても、何をどうすることも出来ない。

血の繋がった姉がいる。



でももし、親が、本当の親として妹を育てていたとしたら……私の存在は単なる邪魔者としかならない。

急に親とは血が繋がっていないことを知れば、誰だって混乱するでしょう?

だから、会う気はなかった。



そして、威鶴を拾い、威鶴がトーマを拾い、その次の年。

その依頼人が来た。



「柴崎千鶴と申します」

「レインです。紹介カードを見せてください」

「……はい」



──なんということだろう。

そこには父の名前が、育ての父の名前が書いてあった。



「……柴崎さん、この人とはどこで会いましたか?」



聞かずにはいられない。

だって父は、家族の誰にも紹介カードを渡してはいないのだから。



こんな事は初めてだった。



「あの、妹を調べていたんです。依頼にも繋がるんですが。そしたら……アルバイト先のお客様が、人を探っているならここへ、と……半信半疑で」



アイツ何考えてんのかしら!?

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