マンゴーにはなれそうもない
「やっ・・そんなとこに・・っ・・!」


唇が首筋に強く張り付こうとするのを
避けようとするが彼がそれを許さない。


「見える・・トコ・・は・・!」

「・・・困る?」

「当たり前でしょ・・あっ・・いやっ・・!」


耳たぶを甘噛みして顎のラインに沿って
痕を残そうと啄ばみ始めるのだ。

暴れようとする肩も胸板が押さえつけた。


「お願い・・、やめてっ・・。」

「なら・・
俺のものでいるって・・約束して・・!」

「ハアッ・・ 優弥・・!」


彼の唇から逃げようと
あたしは顎を上にあげ、苦しくさえなってる。

優弥の愛しくも・・
怖い所を身を持って思い知り震える体は
何か思い出しているに違いなかった。

過去・・小料理屋に通う常連客の1人が
酔っ払ってたった一回、あたしのお尻を
撫で回した事があった・・。

そこに客としてカウンターで
小鉢をツツいていた洸汰は
手下を動かす事無く
自らその男を連れ出した翌日・・

おかみさんはあたしに
"辞めて貰う"と云った。

理由は知らない、ただ、地元の噂で
数本折られた前歯を喉に詰めた男が公園で
窒息し掛けた所を病院に運ばれたとか。

思い当たらなくもなかった。
その日の夜、洸汰は・・

"お前を汚す者の存在を・・俺は許さねえ"

そう云い続けながら狂った様にあたしを
一晩中責め立てる様に抱いた。

後でその話を聞いた時・・
ゾッとしながらも愛されている幸せに
身を震わせたものだった。

狂気な愛し方に・・喜びを感じるなんて
あたしは
異常なのかも知れないと自らを蔑んだ。

その反面・・今、優弥に深い愛情を感じてる。


「・・する、するから・・!」


そう懇願するかに答えると優弥は
フッと安堵の溜息を耳元で漏らしてる。


「瑠璃・・・!」

「んっ・・ああッ・・!」


体をグルリと此方に向けさせると
荒い口付け・・そして鎖骨に歯を立てながら
露骨な指使いで胸をキツく刺激し始める・・


( 堕ちたと云うなら・・それは優弥?
それともあたしなの・・? )


自問自答の中、あたしはまた
優弥の思うままにされ様としていた・・。






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