マンゴーにはなれそうもない
そのテーブルの灰皿で煙草をネジ消し、
フーッと煙を吐き出してから首で指図。


「ったく・・男の子でしょ? 」

「あッ・・♥」

「そ! ソコわッ・・!」

「喧嘩の理由に誇りが持てるンならね・・!
これも・・・、こんな物も! 必要か!っての。」


全身くまなく体をチェックして危なゲな
金具類の全てを取り上げ、ダン、ダンと
力強くテーブルの上に一個づつ置いて行く。


「じゃ、行ってヨシ! アラッ・・」


ハッと気が付けば何故か全員・・

モジモジと内股気味に
股間押えたまま真っ赤になってて。


「・・・やだ、何ソノ、ポーズ!!」

「店長ぉ・・ひでーよ・・・!」

「セクハラじゃね・・・?」


プッと、吹き出して笑ってしまった。

常連組みの1人が言うと他の2人、それと
喧嘩しようとしてた3人も大笑い。

女からのボティ・チェック初体験の
彼らは全員そこで勃っちゃたってコト。

代わりに、ケンカする気は
スッカリ萎えたみたいだった。

・・以来、彼らは
グループ別ではあるものの常連である。

まさか、それを優弥が観ていたなんて。
カウンターに座っていたっけ?

結構、必死だったから覚えてないな・・。


「・・何かありゃ、貴方を守ろうと思ってさ?
脚をムズムズさせてたのも知らないで・・。」

「・・・・・・。」


振り向かないあたしの耳元で呟き、
笑いの混じる溜息が髪を震わせた。


「俺、アレで瑠璃ファンになったのかも。
んっ・・え? 寝ちゃったの?? 何だよ・・。」


・・狸寝入りするほど恥ずかしいって解って。


「ねえ・・?
貴方の為なら俺・・・死ねるよ ____ ?」

「_____ !!」


__________ ドクン・・!

心臓が拳で打たれた様な衝撃。


「・・だけど、淋しい。」


優弥は更に静かに独り言を続けた。



「貴方の優しい嘘が・・俺を打ちのめすんだ。
"ガキに何云ってもしょうがない"って・・
思ってるからなンだろうな・・ってさ。」


違う・・・、そうじゃない・・!


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