マンゴーにはなれそうもない
あたしはただ・・

あたしの過去によって貴方が傷つくのを

他の人によって貴方が傷つけられるのを

避けたかった・・。

炎に立ち向かう男がこんな女の為に
死ねるなんて・・簡単に云っちゃ駄目。

あたしにそんな価値はないンだって・・。


「でも・・誰よりも瑠璃が好き・・
もう・・・・、愛しすぎてる・・。」

「・・・。」


( 解ってるから苦しいのよ・・ )


緊張した事もあり、疲れてたんだろう・・
優弥も直ぐに寝入ってしまった。

静かに力の抜けた手を解くとこっそり
あのお婆さんから貰った名刺と
携帯を取ってトイレに入る。

携帯の設定をやっと非通知にする設定に
変えてから電話をかけてみる。


ドキン・・・!

コールしだした・・。

祈るような気持ちで耳を澄ます。だが、
コールはしているのに出る気配はない。


『プッ・・・』


転送のガイダンスが流れ出す。
同じ機種なら・・メールも打てたろうに。

あたしはもう一度、設定をやり直す。

忠告も解っていながら・・ワンコール
して携帯を折り畳んだ。


( 眠ってしまったの・・? )


がっくりともなる・・。

電話が繋がってあの人と話が出来たのなら
一件落着も早いと思ったのに。

ベッドに戻って来ると携帯を枕元に置き
頭を抱えたのも束の間、横になった。

電話が繋がったとして・・
何から話せばいいだろうか。

まさかとは思うが、彼までもあたしに
"サロゲート・マザー"になってくれと
云ったら・・?

あたしはどうするだろう・・。

洸汰本人にそれを願われたら
あたし、断れるかしら ____ ?

迷ってしまうんじゃないだろうか・・。


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