マンゴーにはなれそうもない
あくまで"もしも"の有り得ない話だった。
恩を売るようなら彼が人を動かしてる。

だからこそまだ甘い
捜査網から逃げ切れてるのだ。

恩も愛情もあった。
だけどもう、あたしは・・
コチラの世界に戻された人間。

彼の云う通り、自分の生きる
新しい世界を見つけてしまっている。
そして大事にしたいものを見つけた。


そうだ・・キレイゴトも何もない。

"貸し腹"は・・・したくないじゃなく、

出来ない。


瑞穂はそれじゃ納得しないだろう。
あたしを憎いとさえ思っていたから・・。

あの待ち伏せと云い、
キッチリ代償は払わせるつもりなのだ。

それにしても

優弥の登場で考えるヒマもなかったが
あたしを助けた男は何者だったのか。

気が落ち着かないばかりか
焦りがでて考えが纏まらない・・。


「ん・・・・。」


抱き枕と勘違いしているかの
優弥の引き寄せにドキッとした。

彼のあたしに対する想いも
この、ほんの一時の事かもしれないが

"絶対、瑠璃を守ってみせる・・"

そう云ってくれた言葉にこそ
あたしは死ねる気さえしていた。

貴方に危害は加えさせたくない。

優弥が意地でも
事の全容をあたしに問いたださないのは
話してくれるのを待っている・・・サインだ。

黙っていられる筈もない、
それもちゃんと解ってはいるけど。

全て話せば彼の事・・
本当に引き下がれなくしてしまうだろう。


( ・・・彼さえ無事なら・・それでいい。)


あたしの気持ちより、彼が大事・・。
その考えだけはずっと変わらないのだ。


♪~♪~♪~


・・優弥の携帯らしい。掛けてあった
ジャケットのポケットが歌と共に震えてる。

こんな夜中に誰から・・?


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