マンゴーにはなれそうもない
thirteenth,  純粋、それは残酷な…?
「・・・。」

一応、ジャケットごと掴んで
優弥の背中を揺らす。


「う・・・ン、なに?」

「携帯、鳴ってるから・・。」

「誰・・? 」


取って。そう手を出す優弥に
あたしはポケットに手を入れた。

ディスプレイにはSの一文字だけ。

・・・多分、翔子だと思われた。

優弥は眠い目を擦りながら
寝たままでバッテリーを外してる。


「瑠璃のマネだな、ふふ。」


ポイと携帯を置いて、ふう・・と溜息。

隣にいるあたしを抱き寄せてた。


「今はそれどころじゃない・・
そのうち俺も携帯変えようかな・・。」


そう云ってまた眠りに入ってしまう。

あたしの事を有耶無耶にする
ツモリはないようだった。

でなければ、そのウチなんて
悠長な事を彼が言うことはないから。

あたしもそれを見て安心したのか
彼に腕を撫でられ続けているうちに

睡魔に取り付かれて
そのまま眠ってしまった・・。


____ 翌朝。


2人でロッジに降りて行き、
叔父さんたちと朝食を食べていた時の事だ。

テレビで朝のニュースが流れて来た。


『国分寺で・・・の未明、喫茶店が全焼・・。』


「「 ・・・・・!! 」」


あたしは思わず箸を置いて、立ち上がった。

映像にハッキリ、見るも無残な
某・酒のメーカーに
作って貰ったウチの看板が・・。


「ヒド・・い・・!!」


次々と映る燃えた跡に

わなわなと震えた体は
立つ力さえ失ってしまった・・。


「瑠璃・・! 」





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