マンゴーにはなれそうもない
翌朝、彼より早く起きて
アベルを連れて外へ出た。

まばらだが客が増えた様だ。
各ロッジの前に車が止まってる。

ロッジには
ヒトツヒトツに柵があるから
敷地内なら犬もノーリードで
ウロウロさせる事が出来た。

物好きな事に、薄暗く
寒い所で炭を起こしている。

そこでコーヒーを沸かした。


「俺の分は?」

「わ! びっくりした!」


彼が静かにやって来て、
後からギュっと両肩を捕まれた。

ポットに取っておいたコーヒーを
彼のマグに注いで手渡してやる。


「年寄りみたいに朝早いね。」

「寝てるのが勿体無い・・
静かで蒼い朝が好きなの。」

「俺、邪魔?」

「フフ、まぁね。」


彼もまだ眠そうな顔で笑ってる。

いつもの澄ました、
冷たそうな顔より素敵だった。


「なに?」

「自然体の貴方は可愛いな・・と思って。」

「ブッ・・。」

「もう・・ほらタオル。」

「じゃ・・、俺と付き合え。」

「まだ言ってンの?」


変なコ・・。

付き合わなくたって
仲良けりゃそれでいいじゃない?



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