マンゴーにはなれそうもない
「お母さんは?」

「あぁ、5年前に死んだの。」


母はガンで他界。

ウチは姉が1人、弟が1人、
そして父上の彼女でもある
お手伝いさんが時々来る。

まあ五人家族みたいなもんだ。


「さっき、何話してたの?」


2人でアベルを洗ってから
リビングに落ち着いてた。


「ん? 何って自己紹介だよ。
お付き合いをさせて
頂いてマスーってさ。」

「ウソ・・!?」


娘が口説けないなら親から?

結婚する気もないクセに、
なんて無謀な事をするのだろう。


「もう・・あり得ない・・!」


オヤジのヤツ、
何かカンチガイしたんじゃ・・?

ソファで頭を抱える
あたしの隣に来て背中を抱く。

抵抗すればまた強引に引き寄せた。


「もしかして・・まだ、
前カレが好きなのか・・?」

「そうだって云ったら、
もう構わないでくれるの?」

「昔の男に遠慮して堪るか。」

「・・・あ、そ・・。」


まるでウチの父を
味方に着けたかの強気ッぷり。

このままではこの年下男、
どこまでもツケ上がってしまう。

あたしはそれを恐れた。


「あのね・・?」

「なに。」


「あたし、本当にダメなのよ。
男と付き合うとか、デートするとか
エッチするとか、何もかもホントーに!
面倒になっちゃってるから・・無理!」


「それ、究極の不精だな・・。」


フウと大きな溜息で
お腹に腕を回し、
肩に顎を乗せて彼は云う。


「前カレと何があったの・・?」


云って・・嫌われたら幸いである。




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