マンゴーにはなれそうもない
______ 近寄りたくない


いつもそう思っていたのは
彼が愛用するトワレのせい?

それとも何か云いた気な
あの視線のせい?

どちらにせよこの男は
あたしの平和を崩しに掛かる
厄介な存在でしかない

そんな危険人物だ


____ そっとしといて欲しいのに



「まだ、わかんない?」


絵麻がクスクスとあたしの肩を
抱き寄せ、軽いキス。

沈黙を守るあたしにやっと助け舟だ。
彼らにシッシッと手を払った。

ゲイにはゲイ特有の匂いがする。

慣れているとそれが容易に嗅ぎ分けられ、
やがてはヒト目でピンと来るようになる。

彼らは悪ぶっていても所詮その程度。
そうでもしないと解らなかった様だ。


「俺らお呼びじゃないって。」


相棒が年下男をそう促し、背中を叩く。

やっと追い払っ男たちが
別のキレイどころの居るテーブルへと
移るのを見て、
あたし達はおどけた顔を見合わせてた。

ほっとしてから彼女は煙草、
あたしは席を立ちカウンターへ向かう。


「バーボン・ソーダ、・・!」


オーダーをすると後から
先に勝手に金を払ったのは年下男。
顔を覗かせて笑っているのだ。


「ストレート(ノーマル)なんだろ?」

「・・・ご馳走様。」


( シツコイわよ・・。)


ウンザリしながら
シレッと・・それだけ云って、
酒をテーブルに持ち帰って来た。


"他にに好きなコができちゃった"


今夜はそんな女友達の
"L"な悩みを聞きに来ただけ。

オンナは勿論、
男はまだ欲しくない。

年下で、自分より綺麗な
顔立ちの男なら尚更だった。



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