マンゴーにはなれそうもない
一人歩きするイメージで
損をしてる女は意外と多い。

あたしもそんな1人なのだろう。

・・・前に居た会社では
気乗りしないデートに頼まれて
仕方なく誘われてやったのに

"アイツとヤッた"なんて
大ぼらを言いふらされてたり。

こんな事を言い出したらキリがないが

トドメをさしたのは
間違いなく最後に別れた不倫男。

"セフレ"にしか思われてなかった。

積み重ね・・男達によって付けられた
些細なかすり傷がきっと・・
こんなあたしを作ってしまったのだ。


「手に入れたら
直ぐに冷めちゃうわよ・・。」


ポツリと
経験上の事を彼に呟いてる。

彼の目にはスレた女に
映ってるかもしれないが本当の事だ。


「俺は貴方でなきゃ嫌だ」

「・・・・。」


そっと腕を外し、自分の鎖骨へ
あたしの頭を乗せて抱き直すと

ゆっくりとくるくる回る、
天井の大きなファンを
ベッドで2人で眺めている。

静かで
奇妙な時間を共有していた。

けしてこんな場所で
彼と過ごすことなど
想像すら・・しなかったのに。


「ねえ? どうして・・?」


いつから?
なにが良かったわけ?

その意味合いの含みを
彼もちゃんと解った様で。



「・・・怒らない?」

「・・・まあ、たぶん。」

「署の先輩が常連だよね?」

「うん。」

「貴方みたいな女と
"ヤリてぇ"って、いつも云ってる。」

「ハァ・・!?」


調理をする為、店では
肌の露出さえ避けていたが・・

信じられない、そんな
ヤラシイ目で見られてたなんて。

あたしは思わず胸をシーツで
隠したまま起き上がり、
やっと煙草を手にしていた。


「そのハスキーな声で
アンアン、言わせたいらしい。」


彼を見る目が・・一変する。

ってか・・
何でこんなズレた事を年下男は
話出したのか皆目見当もつかないのだ。

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