マンゴーにはなれそうもない
この店にそのままいると
その内クラブ状態になるので
煩くなる前にあたし達は店を後にした。


「彼女にちゃんとそのコの事
云いなさいよ? じゃあね。」

「そうね・・、アリガト。
おやすみ、気をつけてね?」


彼女と別れて近くの駅へ入る。

電車を待つ、ヒトケの少ないホームで
階段の手前の壁にもたれて
時間が過ぎるの待った。

フー・・と
唇から息を小さく吐き出してみる。

聞き役に回るのはいつもの事だが、
今日はお酒が効いたか
少し疲れた自分を意識していた所だ。



「!!」


突然、何かがあたしの髪を
ワシャワシャと掻き混ぜ出した感触。
驚いて声をあげそうになった。

振り返れば、階段を上がって来た
年下男がひょっこりと顔を出し、
破顔に近い笑みと
大きな手の平をチラつかせている。


「一緒にカエロ?」

「・・・・。」


呆れて無視、そこを移動して行った。

ホームのもっと中央に行けば人がいる。
そこなら彼とて何もできない。

シラフでああだ、
酒が入っていては何をされるか・・。

そう不安になった矢先、
後からの彼らしき足音を聞いて
咄嗟に走り出していた。

嫌な予感に恐怖心を煽られたから


逃げ出したのは間違いなく本能

さっきのあの視線もそう

特に彼は



_____ 関わりたくない男だったから


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