マンゴーにはなれそうもない
「大丈夫?」

「何とか。」

トイレから戻った筋肉岩男に
自腹覚悟でクリーニング代を申し出たが
割れたカップでチャラにしようと苦笑い。

スケベなだけで
そう悪いヤツでもないのかな?
とも、思ってしまう。

この後、予定があったのか
直ぐに2人を連れて帰って行った。

床のカップを掃き取りながら思う。

( 敵討ちのツモリ・・? )

解らない、自分が何やってんだか・・。


_____ 翌朝、

年下男が退院して来ると云う病院へ
車を走らせていた。

誰か家の人でも迎えに来てるのなら
声も掛けずに引き返すつもりで、

病院の表玄関の駐車場に車を止めて
待っていた。

イラついて消す煙草。
何で来てしまったか既に後悔。

ふと顔を上げると、
見慣れない黒のジャージ姿の彼。
首のカラーがちょっとナサケない。

玄関前に立ち、
タクシーでも待ってるみたいだった。

車を降りようとしたその時、
一台のピンクの軽自動車が
横付けで彼の前に止まったのだ。

思わずまた車に戻ってみていた。

運転してるのは・・やっぱり
彼より年下っぽい可愛い風なコで・・

そおっと車に頭を下げて乗り込む
彼に笑っているのが解った。


( お似合いな感じ・・。 )


彼らの車が出て行った後、
逆方向に車を走らせていた。

妙な気分・・失恋でもした様な。

もう彼が来ても、
何も知らないフリをしていよう。

筋肉男に挑んだことも、
入院してたことも、
可愛い女のコのことも。

彼と関係すればするほど
あたしはダメージを受けてしまう。

こんな事、
最初から望んではいなかったはず。

大体・・
あの筋肉男に挑んだのだって・・
勘違いかもしれないし。


(あー・・なんてダメ女なんだろ。)


そんな時、あたしのする事は決ってる。

一度家に帰り、ジムへまた出掛けた。
そしてエステ、美容院を回り
一日の殆どの時間を費やすのだ。

こうして自分を納得させてやるに限る。


"お金を掛けたカラダなんだから
あんな男にはモッタイない"って・・


『負け犬の遠吠え』に思えなくもないけど。




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