マンゴーにはなれそうもない
イベント会場に着くと予想より早く
人が集まってきていた。

駐車場は
色々な人でごったがえしてる。

業者さん、市の関係者、
警察、なぜか・・
レスキューの制服を着た人もいた。


「うぃース・・!」


荷物を持って機材置き場を通り、
質素な待合室でメンバーと合流。


「あー、ルリっち、おはよ~ン。」

「ヒサコじゃ~ん。」


私服もブッ飛んでる
B系お姉ちゃん達からのハグ。

皆年下だが誰一人、あたしに
敬語は使わないしフレンドリーだ。


「ウチラの出番は11時だから。」


ビデオカメラの調子を確認、
リュウからプログラムを渡された。


「OK、じゃ
それまでソデに居て平気ね。」

「んじゃ、外でリハやってくる。」

「ん、後で行くから。」


待合室から皆が出て行くとあたしは
自動販売機を探した。

朝、
コーヒーを飲む時間がなかったから。

それにシャツドレスにレギンスなのに
嫌に寒い。腕を摩りながら歩いてた。

ギク・・!

裏手の野外の自販機の前に
さっきのレスキュー隊がタムロしてる。

どうやら知った顔はない様で安心。

彼らはあたしに
気付くとサッと退いてくれた。


「・・・・・・・。」


気のせいならいいんだけど・・
ボタン押すまでチクチクと視線?

ガコン!

落ちたコーヒー缶を取り
早々にそこから立ち去って来た。


(レスキューに・・いずれはなりたい
って聞いた事あったっけなぁ・・。)


優弥が前にレストランで言っていた。
レスキュー隊は花形で憧れなんだとか。

ダメだなぁ・・何にでも
あの年下男の影を見ちゃうんだから。


彼らの処に行くまでに
煙草を吸っておこう。
禁煙してるメンバーがいるから。

そう思って近くのペンチに腰を降ろす。
ふと見たら空が一転して曇ってた。


「そりゃ寒いよ・・。」


そんな事、思い出したりするから
余計に寒いのかも・・ね。


「あの、ねえ?」

「わっ!?」


背後からの声に火を着け様としてた
煙草を落としそうになる。


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