マンゴーにはなれそうもない
"ねえ、コウちゃん・・傍に居てくれるなら
あたし、ずっと二番目でもイイよ・・?"

今、思えば17歳らしからぬ台詞。

彼は一瞬、埋めていた胸から顔を上げ
あたしの顔をしげしげと眺めてた。


"・・バカヤロ、そんな事云ったら
血迷ってガキでも仕込ンじまうぞ? フフ"

"フフ それはダメ・・。"


学校はちゃんと卒業しろって
彼が云うからじゃない。


( 瑞穂さんが先でしょ・・? )


あたしが笑って瞳を覗き込めば
云いたい事ぐらいは通じたのだろう。


"だから、特別なんだ・・"


ご褒美を沢山貰う様に、
夜遅くまでいっぱい抱いて貰った

おかしくなるぐらい感じて
背中の腕の骨のラインにしがみ付き
唇を閉じ合って、
彼を抱くのが好きだった

続かない幸せだって解っていたけど
続けばいいと________ 願っていた



「・・瑠璃さん? 着いたよ。」

「・・・・えっ!? ・・はい。」


つい過去にトリップしてしまってた。
彼は車を止めて降り、後ろのドアを引く。

走った時間は約20分程度のそこは
隣の市に入った
某大手グループのシティホテル・・
ケータイのから予約を入れたらしい。


「よく取れましたね・・。」

「優待券持ってたからね。
ここなら一泊1人五千円程度で済む。」


いいホテル並みに、
案内の係りの人が荷物を持ってくれた。


「さ、行くよ。」

「え?客室には上がれないんじゃ?」

「ハハ 何云ってんの、僕も客じゃない。」

「・・・・・・・勿論ツインですよね?」

「ちょっと君・・!」


案内係りの肩まで抱いて
何かコソコソと耳打ちしてる。

・・・さてはダブルで取ってやがったわね。

案の定、別の係りが走って来て
違う鍵を届けに来た。

全くこの男も油断ならない。



「ずっと此処に泊まらせるおつもり?」


下の和食レストランへ降りて来ていた。

彼は前菜を平らげて
その器を避けたかと思うと
テーブルの上を這う蛇みたいに
手を伸ばし、あたしの手に手を被せる。


「僕じゃ貴方を守れないとでも?」

「守る?」


< 93 / 129 >

この作品をシェア

pagetop