恋愛記念日(恋愛短編集)




 演奏中は正直、パニックで、何があったか覚えていない。


 ただ、割れんばかりの拍手をもらったってことくらいは覚えている。



 完璧な演奏を終えた玲ちゃんが私の前の席に座って



「よかったよ、香織。最高だった」



 そう声かけてくれた。



 心がじんわり温かくなった。




 演奏が終わったところで、観客も演奏者も皆、ホールを出て行った。




 そんな中、私は玲ちゃんに呼ばれて、ホールに残った。





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