センチメンタル*ガール




「もう分かんないよ。どうしたらいいの……」



久しぶりに抱き締められてドキドキした。



あんな言葉を告げてきた彼に心臓が止まるかと思った。



別れ話をしに来た人にそんなことを言うなんてずるい。



でも、決意を揺るがす訳にはいかない。



だって、今こんな仕事を始める前の彼に戻ってくれたって



熱が下がっていつもの彼に戻ればまた仕事一色になって



事態は何も変わらないだろうから。



今日、きちんとお別れをする。



あたしは救急箱から体温計と薬を取り出して、冷凍庫から氷枕を取り出すと



それからお水を持って彼の部屋に再び向かった。




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