センチメンタル*ガール
口に出せないあたしは必死に目で訴えてみた。
だけど、佑輔は「は?」って顔をするだけでちっとも気付いてくれない。
それどころか「映画の時間まで押してるから早く行くぞ。」と行って車から降りてしまった。
「……あーあ。気付いてもらえなかった。」
ちょっと淋しい気持ちになったけど、まだ映画のチケットも取ってないし急がなくちゃ。
シートベルトを外して、ドアのロックを解除するとあたしも急いで車から出た。
それから佑輔が鍵を押して車の鍵をロックして映画館に向かって歩き出したんだけど……
映画館の中に着いた瞬間、休日なのかそれとも新作の映画の公開日なのか分からないけれど
たくさんの人で混んでいてとてももう少しで始まるような映画を観れそうな状況ではなかった。
本当に今日はついていない。
映画観れなくなったのあたしのせいだ。
自分を責めて泣きそうになった時、佑輔があたしの腕を掴んでチケット売り場とは違う、少し人気の少ない所にあたしを連れてきた。