それぞれの空
「ん~!うまっ」
真夏日の今日にピッタリなこのひんやりした触感。
「きてよかったー」
あたしたちはベンチで行きかう人たちをみながらガールズトークに明け暮れていた。
あの先生の評判だどか、
あの先生はあの子に気があるだとか、
冷房が効きすぎるだとか、
本当にくだらないことばっかり。
「彼氏とはどう?ちゃんとやってる?」
帰り際、江実さんが聞いてきた。
「うん。元気モリモリ」
「なんだそれ」
「江実さんはさ」
「ん?」
笑顔であたしの顔を見る。
「ううん、ど忘れしちゃった」
口から出そうになった“先生”っていう単語をぐっと呑み込んであたしは笑った。
こんなこと聞くようなことじゃないか。
というより聞くまでもないか。