短編集~甘い恋~
まさか、山口先輩?
いや、ないない。
山口先輩は、優しい王子様だよ?
こ~んな悪魔みたいに怖い言葉遣いしないよ~。
あたしってバカ~!

「おい、そこの女。全部声漏れてんだよ」

しゃがみこんでいたあたしの後ろからドスのきいた声。
そーっと、後ろを見てみる。

「ややややや山口先輩!!!???」
「うっせぇ」
「え、なに、人いたの?」
「てめぇのせいだろうが」

そう言って山口先輩は京介と呼ばれていた人に蹴りをいれる。

「ご、ごめんって。てか、いいの?この子。固まってるけど」
「チッ。とりあえず生徒会室に持ってく」
「OK~♪新しい仲間かぁ♪」
「なに浮かれてんだ。お前はあと30分後までにハンコ持って生徒会室だ」
「っ、はいっっ」

2人のやりとりなど、あたしの耳に入ってこない。
あたしの目の前に繰り広げられる光景をただただ見ていた。


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