短編集~甘い恋~
目が覚め、すぐに目に入ったのは、怒った顔をした孝人先輩だった。
「孝人、先輩…?」
あたしは起きあがる。
「大丈夫?」
「あ、はい…」
「すっげぇ、焦ったんだから…」
そう言い、はぁ、と息を吐く。

「…美々ちゃんに聞いたよ。ダイエット、してたんだって?」
「……はい……」
「なんで?」

ねぇ、先輩…。
どうして、そんなに怒ってるの?
迷惑、かけたからですか?

「っ、痩せたく…て」
「なんで?今まで、気にしてなかったよね」

布団を握る手に、力がこもる。

「近づきたかったんです。孝人先輩の周りにいるような、女の先輩たちみたいに」

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