竜胆姉弟江戸幕末奇譚
なんのことはない。ひめを必死に探していたのだから、体温だって上がるはずなのだ。
(…ちがう)
ひめも幼いながら、そう考えついたが、ふと気付いた。
(人肌のあったかさ、久しぶりだ…!)
さらなる謎が、ひめを襲った。
そういえば…。と思い出す。
あんなに抱き締められ、撫でられ、触れられたのに。
手は氷のように、冷たかったのだ。
氷のように冷たい手。
不思議なくらい白い肌。
(…あの人は…誰…?)