ALiCe


「ゆ、夕食の…時間だから…」


夕食。
この世界にもちゃんとそれはあるのか。

いや食わなきゃ生き物は死ぬだろうけど…


なんとなく元の世界と同じものを見つけると不思議な気分になる。


この世界は白ウサギの銃のせいでおかしいことに気づけたが、実際元の世界と外が劇的に変化したわけではない。


だからか錯覚してしまいそうになる。

俺は今普通に元の世界に存在しているのではないか、と。


この世界についてわからないことが多すぎて、珍しく弱気にでもなっているのだろうか、この俺が。

さすがに命の危機があるかもしれないんだしな…



「…ぅ、あの、えと…」

黙り込んだ俺に耐えかねたのかウサギ耳が声を出す。

「…わかった、行く。案内しろよ」

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