ALiCe

■気が合わない



「ばっかじゃねえのか」

今はいない昨日まで一緒にいたはずの女に向かって俺こ心のそこからそう思った。
そう、意識せずに思わず口に出すくらいに。




朝というのか昼というのか、時計がどうやら狂っているらしいこの世界で曖昧な時間帯に俺は自室で目覚めた。

やることもないわけだし、とりあえず誰かいるかと昨日の夕食を食べたところへ向かった。


俺の想像通り、そこにはレイナルドとメリッサがいて茶を飲んでいたのだが告げられたのは

「カナがいなくなっていたんですよね」

という言葉だった。


最初はまさか連れ去られたりしたのかと多少心配してやったものの、レイナルドが言うには恐らく自主的でしょう、とのこと。


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