2両めの安藤くん。
私には勇気なんてなかった。


黒い学ランに黒いローファー。

背が高くて、
つり革じゃなくて
網棚のパイプを握るとこ。

細身で骨っぽい手首。

うっすら浮き出た手の甲の血管。

陽に当たると茶色く透ける長めの髪。

スッと通った鼻すじ。

切れ長の目。

右上がりの眉。

一見クールな感じなんだけど、
笑うとくしゃってなって
子どもみたいでかわいい。


混雑した電車の中で
彼だけがキラキラ光って見えた。







..............神さま....っ!
ありがとう!私生きていてよかった!



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