逢い死て


「君がどれだけユウトと付き合ってるかは知らないけど、ユウトは随分前から、色んな女取っ替え引っ替えしてヤりまくってる」

「…………」

何て情けないんだろう。言葉が、出ない…………。

そんなはずない。嘘つかないで。

って即答できない。
私とユウトが会うのは良くて週に一回。さらに良くて週に二回。最低で、会わない週もある。連絡を頻繁にとっているわけでもなくて。

今まで本当に、気にしたことはなかったけれど、それが現実で。

私は飛び抜けて美人ってわけでもないし、ロックは知らないし、ライヴは今日初めて観たくらいで。


直接鈍器で衝撃を与えられたかのようにガンガン痛み出す頭部。視線はどんどん下がっていって、私の履いているピンクベージュのピンヒールが視界に写る。


「アドレス教えて?心織ちゃん。 んで、今日みたいに寂しかったらオレにいつでも連絡して。忘れさせてやるから」

なんでいきなり私?
とか、
忘れさせるって何を?
とか、

考えるのもできないくらい頭がごちゃごちゃになって、痛くて。

私は多分無意識に……ポケットから携帯電話を取り出していたのだった。



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