逢い死て
…………
「昨日、どうだった?ライヴ。行けなくて申し訳なかったけど」
聴講を終えて訪れた、午後3時の駅前のパティスリーカフェ。あらゆるフルーツを惜し気もなくふんだんに使った、絶品フルーツタルトがウリで、ウチの大学の女子会によく利用される。
店内はガラス張りで開放的な明るい雰囲気であり、目まぐるしく人が流れるガラスの外とは対照的なゆったりとした洋楽が、良い塩梅で流れている。
「まぁふつーに、良かった、けど………」
半分が嘘で、半分が本当だった。
「ふーん」と呟いた麻雪(まゆき)は、こくこく頷きながら、ブルーベリージュースをずずっと吸った。
「でも、行きたかったなあ。心織の彼氏見れる、せっかくのチャンスだったのに」
やっぱり一人でライヴへ行くなんて、さすがに気が引けて、麻雪を誘ってみたのが一昨日。
急な話だったから当然だけれど、どうしても都合が悪くて断られてしまった。気兼ねなく遊びに誘える友達が麻雪くらいしかいない私は、他の友達を誘えるわけもなく、一人で行くと腹をくくったのだった。