逢い死て
麻雪の口から淀みなく流れる言葉の波。バイト先でのあれこれ、彼氏とのあれこれ、そのどれもが幸せに満ち溢れ、浮かんでくる光景はきらきらと鮮やかだ。
私はどちらかというと話ベタで、専ら聞き役だ。途切れることのない話を人に聞かせられるほど、濃い一日を送っているわけでもない。
だいたいが月と太陽ほどに正反対な私と麻雪は高校から付き合いで、何故か今も関係が途切れることなく続いている。
スポーツ万能で成績もそこそこに良く、おおらかで明るい彼女は、クラスの人気者であった。
嫌みはないし、優しいし、情に厚い。彼女の美点すべてなんて、とてもではないけれど言い尽くせない。そんな非の打ち所のない彼女は、今も昔も私の憧れの存在だ。