逢い死て


私からキスをしたことが不味かったのだろう、一層激しさを増したその行為はもう"キス"だなんて簡素にまとめられるものではなくて。

舌を吸い込まれて、唾液を流し込まれて、舐め尽くされて、

びっくりするほどで。もう私は、


「………っ、」





涙が出た。

わかったのだ。私は……割り切ることなんてできっこない。ってことを。









「大丈夫?」

ひどく優しく頭を撫でられた。それは親が、泣いた子供を宥めるのに似た、慈愛に満ちた動きだった。




この人は見抜いていた。と、思った。




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