逢い死て


ものすごく悲しかった。

私には出来ない。流れに身を委ねようとも。好きな人とだけするトクベツな行為を、好きじゃない人とするなんて出来ない。

出来ないから
胸が痛くて、寂しくて、どうしようもなく辛い。

―ねぇ夕都。
あんたは私以外と出来るの。

割り切れるの。










握り締めたシャツが濡れて暗く侵食されていくのも気にかけず。

野上圭介は決して抱き締めることはせず、私の頭を腕で包み込んで胸に押し付け、ずっとこめかみあたりを撫でていた。
そこにはやましい気持ちなんてなかった。

時折、ぽんぽんと一定のリズムで背中に触れた。その言葉なき優しさに、私は涙が止まらなかった。



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