異人乃戀 短編集
花見<全サイトキリリク:空様より>
湖阿がいつものように部屋で書物を四苦八苦しながら読んでいると、襖が勢いよく開いた。
「湖阿様!」
入ってきた咲蘭は、湖阿の読んでいる書物を取り上げると、湖阿を立ち上がらせた。
何が何だか分からない湖阿はされるがままで、呆然と咲蘭の顔を見る。
「お花見に行きましょう!」
「え、え?お花見?」
「近くにいい花見場所があるんです」
そうか、今は春なのかと湖阿はふと思った。元の世界でも花見はした。桜の季節は短い。それが湖阿は好きだった。雨で散ってしまう前に目に焼き付けるのが。
しかし、桜は白虎族を彷彿とさせるのではないのか?
「桜って……」
「あの桜が白虎族なだけ。外の桜はただの桜ですから」
そんなものなのか……と、湖阿は納得した。この世界の人は区別をしっかりしている。
屋敷から出た湖阿は思わず感嘆の声を漏らした。見事な桜並木。桜並木の先には一際大きな桜の大木があった。
湖阿の視界が優しい桃色に染まる。風が吹く度に飛んでいく桜の花弁を、昔のように掴みたいという衝動にかられた。
「さ、湖阿様座って下さい」
咲蘭に促され、湖阿は志瑯の隣に座った。少し離れた場所では玄武の長の咲蓮や鷹成、咏達年長者が酒を騒がしく酌み交わしている。
その中に、なぜか鷹宗がいた。てっきり志瑯にべったりとくっついていると思ったのだが。
「湖阿ちゃん、遠慮せずに食べてね」
「あ、うん。」
湖阿は志瑯の方を一瞥すると、食べ始めた。いつも志瑯と何を話せばいいのか迷うのだ。
志瑯はそんな湖阿を知ってか知らずか、杯を口に運ぶ。桜の下、酒を飲む姿も様になる志瑯に思わず呆然と見つめてしまった湖阿だが、すぐに我に返り食事を掻き込む。
「こ、湖阿ちゃん?」
侍女の楓が見かねて止めるまで、湖阿の暴飲暴食は続いた。
「なによぉーかえでぇ」
明らかに呂律の回っていない湖阿の口調に、楓は焦った。いつの間にか酒を呑んでしまったらしい。
「湖阿様!」
入ってきた咲蘭は、湖阿の読んでいる書物を取り上げると、湖阿を立ち上がらせた。
何が何だか分からない湖阿はされるがままで、呆然と咲蘭の顔を見る。
「お花見に行きましょう!」
「え、え?お花見?」
「近くにいい花見場所があるんです」
そうか、今は春なのかと湖阿はふと思った。元の世界でも花見はした。桜の季節は短い。それが湖阿は好きだった。雨で散ってしまう前に目に焼き付けるのが。
しかし、桜は白虎族を彷彿とさせるのではないのか?
「桜って……」
「あの桜が白虎族なだけ。外の桜はただの桜ですから」
そんなものなのか……と、湖阿は納得した。この世界の人は区別をしっかりしている。
屋敷から出た湖阿は思わず感嘆の声を漏らした。見事な桜並木。桜並木の先には一際大きな桜の大木があった。
湖阿の視界が優しい桃色に染まる。風が吹く度に飛んでいく桜の花弁を、昔のように掴みたいという衝動にかられた。
「さ、湖阿様座って下さい」
咲蘭に促され、湖阿は志瑯の隣に座った。少し離れた場所では玄武の長の咲蓮や鷹成、咏達年長者が酒を騒がしく酌み交わしている。
その中に、なぜか鷹宗がいた。てっきり志瑯にべったりとくっついていると思ったのだが。
「湖阿ちゃん、遠慮せずに食べてね」
「あ、うん。」
湖阿は志瑯の方を一瞥すると、食べ始めた。いつも志瑯と何を話せばいいのか迷うのだ。
志瑯はそんな湖阿を知ってか知らずか、杯を口に運ぶ。桜の下、酒を飲む姿も様になる志瑯に思わず呆然と見つめてしまった湖阿だが、すぐに我に返り食事を掻き込む。
「こ、湖阿ちゃん?」
侍女の楓が見かねて止めるまで、湖阿の暴飲暴食は続いた。
「なによぉーかえでぇ」
明らかに呂律の回っていない湖阿の口調に、楓は焦った。いつの間にか酒を呑んでしまったらしい。