彼女はハラハラ時計
しかし今回の爆弾は白の単色だけで90本以上。そして、それら全部の接続部分は金属で目隠しされ、リード線がどう繋がっているのか分からない仕掛けになっている!

「どうします美吉田警部補?」

「タイマーは作動してないんだ。ゆっくり考えよう」

「はい…」

仰向けになり両手を動かし解体手順をイメージする俺。藍田はリード線をピンセットで慎重に摘み丹念に調べていた。

「それで…琵琶湖での釣果はどうだったんですか?」

「釣りには…行ってないかもしれない」

『ブチッ!!ブチッ!ブチッ!』突然、この場に相応しくない異音が聞こえた。見ると藍田が考えもなしにリード線をニッパーで切っていやがる!

「何をしてるんだ藍ちゃん!」

「気分がすぐれなくて…5本ぐらい切断しちゃいました!」

「頼むから、慎重に、慎重にだ」

「美吉田警部補も慎重に答えてくださいね。不思議と指先が暴れちゃうんですよ。ホント不思議」

「わかった」

「では…釣りには行かず、スーツまで着て何処に何をしに行ったんですか?」

「料亭でお見合いを…あっ!」
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