彼女はハラハラ時計
『ブチッ!!ブチッ!ブチッ!』まただ…。藍田がまたやりやがった!リード線を10本ぐらいは切ってるんじゃないのか!

「藍ちゃん!死ぬつもりか!」

「いっそのこと一緒に死ぬ?」

俺の目の前でニッパーをちらつかせ、意味ありげに微笑む藍田。これじゃ、彼女が爆弾の起爆剤だ!

「お見合いの結果は?」

「逃げられたみたいな」

「逃がした魚は大きいみたいな感じ?アハハハ!」

「藍ちゃん面白いこと言うな。アハハハハハハ!」

「何が面白いんだー!アハハじゃないよ!もうリード線を全部切断してやる!コイツも!コイツも!全部、全部だ!」

「落ち着け!落ち着けよ!」

俺は藍田の背中に飛び乗り背後から両腕を掴んだ。なんとかリード線の切断を阻止できたみたいだ。

「なんでよ…みよたん」

「だから爆弾が爆発…」

「違う!違う!違う!なんで嘘つく必要があったの!こんな現実離れした職種だもん。業務的お見合いだってあるだろうさ。それは私にだって理解できる!」

「……」

「なのに、なんで嘘ついたの…。分かんない…。もう、みよたんの気持ちが分かんないよ!」
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