彼女はハラハラ時計
「またどうして、そんな意味のない工場に…。でも藍田巡査長もいるし、遠隔操作ロボットを活用すれば」

『通常の爆弾なら、それでも間に合うが…今回の爆弾はキャリーボムボムのお手製だ』

「キャリーボムボム!」

『そうだ。前回同様、お前宛てに犯行声明テープも届いてるぞ』

「今すぐ現場に向かいます」

『ああ、頼むな』

連続爆弾魔キャリーボムボム。彼の爆弾は通常の仕掛爆弾とは違い特殊だ。解体作業には当然、知識、経験も必要になってくるのだが、それよりも大事なのは勘と運。そんなアバウトなものに頼らなければならないぐらい彼の爆弾は精巧で悪質。俺はそんな彼の爆弾を二回解体していた。

桔梗の間に戻り、片桐巡査に深く頭を下げた。

「大変申し訳ない。実は急な任務が入りまして…お見合いを延期してもらいたい」

「延期してもらわなくても結構ですわ。今回の話はなかったことにするつもりですから」

「え?そんな…」

「任務がんばってください。それでは失礼します」
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