彼女はハラハラ時計
「よう、太志。俺は釣りのことは詳しく知らないが…琵琶湖ではスーツ姿で釣りをするものなのか」

「もう勘弁して下さい」

「とりあえずさ、対爆スーツを着用してくれ。警視総監あたりの偉い人がたくさん来てるしよ。そんな姿でウロチョロされたら、指導者失格で降格にされちまう」

「すいません」

若い巡査が用意してくれた、宇宙服にも似た対爆スーツをスーツ姿のまま着用する俺。

「そういえば、不発弾処理専門の自衛隊まで現場にでばってるみたいですけど」

「アレな…。この情報は極秘なんだが、一週間前、放射性廃棄物が入ったドラム缶が盗まれたらしい。詳しくは聞けなかったけどな」

「放射性廃棄物って!それじゃ今回の仕掛け爆弾は『汚い爆弾』の可能性があるってことですか!」

『汚い爆弾』…。広範囲に核物質を拡散させる爆弾を俺達はそう呼ぶ。

「それは分からん。仕掛け爆弾の付近をシンチレーション式の測定器で計測したが正常値だったしな。だが、あまりにもタイミングが良すぎないか」

「そうですね。キャリーボムボムの仕掛け爆弾だし」
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