ため息と明日
「んー…そういうのもあるかもだけど、なんかさ、結構、負けず嫌いでしょ?」
視線を上げると、ほんの少しいたずらな表情で顔を傾ける伊澤さん。
確かに、私は、出来は悪い癖に、人一倍プライドが高く、やっかいな気質だ。
「…そう、ですね。」
すると、うんうん、と頷いて
「大事だからね、そういうの。絶対持っておいた方がいいよ。」
「なんでですか?」
「そりゃ、勝たないといけない世界にいるから。」
勝てない今が、ほんとにくるしいのに
これからも続ける…?
だけど、
不意に沈黙を破り
「もちろん勝ちばっかりなんて、普通のやつだったら、そんな上手くいくばかりじゃない。
だけど、いつかは勝たなきゃダメなんだ。
それは、自分だけじゃなくて、組織として動いているから。
いまは、そういう感覚?って難しいと思うけど、
いずれは、仁科さんもきっと分かってくると思うよ。」