ため息と明日


「ふ~ん。ま、よくはないですけど、出張なら仕方ない、ですもんね」


明らかに納得していない顔のまま、コーヒーを片手に彼女は言う。


「…でも、本音を言うと、先輩ならってちょっとは認めてるんですよ?」


さっきまでの発言とは、打って変わって諦めにも似たような声色に、


逸らせていた視線を、彼女の瞳に合わせる。


すると、口元がふっと緩んだ表情をしていて、どこか遠い眼をした瞳にぶつかった。




「コツコツ頑張って、誰にも媚びずに今の立場を掴んで。みんなのこと、ちゃんと見てる。あたし、そんな先輩、かなり尊敬してるんですよ。」



思いも寄らぬ言葉を掛けられたことに、一瞬思考回路が静止した。






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