ため息と明日


ずっと黙って聞いていた彼は、最後に呟いた。



「本当に…どんどん逞しくなっていくんだな。知らない間に、きっと…」



それきり、この話題についてはもう、話をすることはなかった。



きっと、という言葉には何が込められていたのだろう。



どこか、ぼんやりとした視線になった伊澤さんが少し気になったが、



次の商談に向け、スイッチを切り替えていった。
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