ため息と明日
週明けの月曜日。
いつもより早く目が覚め、いつもより1時間も早く会社に着いた。
officeの中には、まだ人が誰もいない。
電気をつけて、自分のデスクに座り、自然と視線が移るのは、
金曜日から、私の心を占める人のデスク。
乙女か。って自分にツッコミを入れて、苦笑い。。。
こんな早くに会社に来てしまったことは、
きっとどこかで、あの人に会える気がしたから。
浮かれてこんな風になってしまったんだと思うと、我ながら単純な人間である。
なんせ、三十路を過ぎた女だ。
恋愛なんて、いつぶりだ?
いつもより、張り切ってメイクが濃くなった気がしないでもない。
こんなことなら、●ガリシノブのゆるふわメイク術をもっと学んでおくべきだった。。
後悔先立たずだ。全く。
そんなことを思って落ち込んでいると、誰かの足音が聞こえた。
俯いた顔を上げ、こちらへ来る人物に朝の挨拶をしようとしたとき...
「あれ?早いね。」
その声に反応してしまう。
声の主の方へ振り向くと、やっぱりキラキラして見える。
太陽の光よりずっと眩しくて
おはよう、と柔らかな響きを携えていた。
もう、何も言えなくなるくらい
なんか、色々な感情がこの前から溢れてきている。
「どした?なんか具合でも悪い?」
あまりにも私が黙っていたためか、心配までしてくれる。
そうじゃないと首を振ると、安心したように笑う。
それから他愛もない話をしていると
「今週末、どっか行こっか?」
所謂、デートのお誘いを受けた。
もちろん、と承諾すると、伊澤さんは、ものすごーく幸せそうにくしゃくしゃな笑顔になる。
私でいいのか。
私じゃなくて、もっと伊澤さんに相応しい人は沢山いるのに。
でも、伊澤さんは私を選んでくれた。
それに私も確実に伊澤さんに惹かれている。
なんだか不思議な気分だけど、
大切にしようと思う。
こんな私を大切にしてくれようとする
目の前の貴重なヒトを。