ため息と明日
「元気だった?とか言えばいいわけ」
ため息の後は、まるで私に興味が無いような言葉。ヤツは本当に私との再会を望んでいたのか?
まぁ、もうどうでもいいか。
とりあえず、言いたいことを言って、好きなお酒を飲んで、気分スッキリ!で帰ろう。
「...別に。ただ、どっかの誰かさんが、私に会いたいとか言ってたらしいから、来たんだけどね」
違った?そうヤツに目を向けると、決まりの悪い顔をする。
改めて隣の男の顔をよく見ると、仕事が大変なのか若干の疲労が見て取れた。
でも、何となくだが、疲れの中でも充実感が漂っているような大人の男の余裕も感じられる。
目尻に少しシワが増えた?
前よりも髪型が浮ついてない。悔しいけど、スーツの趣味は相変わらず良い。
トータル30過ぎの良い男感出してんなよ。とか、心の中で毒を吐くのを忘れない。
すると、声を上げて彼は笑った。
先程まで合わなかった、目をこちらに合わせて
「そうだな。それ俺だわ」
今まで見たこともない優しい笑顔で応えてくれた。