ため息と明日


正直、その笑顔があまりにレア過ぎて、何と返事をすればいいのかも分からなくなった。



そんな私に気付いてか、彼は少しずつ話し出した。



「ここに来たら、会える気がした..」



待ってた。ずっと



別れて、しばらく経った後から、今までよりも多い頻度でこの場所を訪れていたという。



でも、会えなかった。



待っても、待っても、来なかった。



それでも、2人の共通点はここしか無かったから、僅かな望みに託した、と。




「最後、あんな風に終わったこと後悔した。なんで、繋ぎ止められなかったのかって」



お前だけだったのにな



俺のこと、向き合おうとしてくれたの。



自己中で、他人の事傷つけてばっかで、



どうしようもない自分に、マトモに叱って



正そうとしてくれたのは、お前だけだった。



「いつも怒らせてばっかでさ。しょーもないことで言い争って。結局、お互い引くに引けなくて...」



でも、次の日には、何でも無かったようにケロッと普通に俺に話し掛けてきて、元に戻してくれた。


そういう温かさが、俺には必要だった。



別れた後、一緒に居てくれた時間が、物凄く恋しくなったんだ。



一つずつ、言葉を紡ぎ出していく智樹の姿に、かつての自分と、彼と共に過ごした日々を思い出さずにはいられなかった...。



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